どれほど優秀な医師であっても、クリニックの運営を一人きりでやっていくことは基本的には無理だといえます。そのため、開業にあたっては「求人」を出して、自クリニックに合う人を雇い入れる必要があります。
ここでは、
・現在の有効求人倍率と、そこから見えてくるもの
・求人を出すときに考えるべき点
について解説していきます。
医師の有効求人倍率も看護師の有効求人倍率も高い
「クリニックを開業した場合、求人情報の出し方に注意するべき」とされているのは、クリニックに関わる職業の人の有効求人倍率が高いからです。「医療事務職」の場合、有効求人倍率は0.33倍と低めですが、全国的にニーズが高い看護師の有効求人倍率は2.20倍です。
また、「クリニックを開業するにあたり、薬剤師を雇ったり、相棒となる医師を雇いたいと考えたりする人もいるでしょう。医師・歯科医師・獣医師・薬剤師の有効求人倍率は実に4.67倍となっています(厚生労働省和歌山労働局のデータによる)。
看護師と医師・歯科医師・獣医師・薬剤師の有効求人倍率がいかに高い数字であるかは、職業計の有効求人倍率を見ればよく分かります。
2022年度に看護師の有効求人倍率と比較するかたちでとられた「職業計」の有効求人倍率は、1.19倍にとどまっています。つまりは、看護師や医師・歯科医師・獣医師・薬剤師の世界は完全な売り手市場であり、雇用される立場の人が自由に施設を選べるようになっているのです。
ちなみに医師・歯科医師・獣医師・薬剤師の統計は「常用的フルタイム」「常用的パートタイム」で分けていますが、どちらの場合でも、1.0倍を切ることはありません(看護師の場合は「両方を合わせた数字」で算出されています)。
見方を変えれば、求人の出し方にきちんと考えなければ、有効求人倍率が高い業種においては早々に「就職先として対象外」の判定が下されるおそれがあるということです。
出典:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001140978.pdf
出典:厚生労働省「12 医師,歯科医師.獣医師.薬剤師」
https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/content/contents/001467674.pdf
出典:厚生労働省「医療事務」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/443
求人を出すときに意識したい3つのポイント
高い有効求人倍率を誇る医師や看護師に、自クリニックを選んでもらうためには、以下の点に気をつける必要があります。
・どんな人を採用したいかを棚卸す
「どのような人材が必要か」は、クリニックによって異なります。極端な例ですが、精神科のクリニックで、外科の医師を採用しても専門外であるため活躍は難しいでしょう。
また、「10年以上のキャリアを持つ看護師にお願いしたい」「明るくハキハキした人材を求めている」などのようなケースもあるでしょう。
求人を出す前には、まずは自分たちのクリニックが求める人材を洗い出すことが重要です。
・自院の特徴をしっかり書く
自院の特徴も、しっかり記しておきましょう。このときには「アットホームなクリニックです」などの表現がよく選ばれますが、「学会への参加を推奨しています」「建てて1年以内の新しくきれいなクリニックです」「地域に根差した医療を実践しています」などのように、自分たちのクリニックの特徴を具体的に書いた方が、相手が選びやすくなります。
・労働条件は明確に
労働条件は明確に記しましょう。たとえば「給料は○○円」「ボーナスは夏冬2回」「残業はありません」などのようなものです。
この「労働条件」は、非常に重要なものです。また、就職先を探している人に労働条件のことを聞かれたら、隠すことなく正確な返答をしましょう。
なお、株式会社メディカルコンサルティングでは、病院やクリニックの採用のお手伝いもしています。「なかなか人が集まらない!」「効率の良い人材募集をしたい」という方はご相談ください。