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クリニック開業! 開業時間の設定と法律の話

クリニック・病院(以下は「クリニック」の表記に統一する)を開業しようとするとき、決めなければならない項目は非常に多くあります。今回はそのなかから「開業時間」を取り上げて、それの設定と、それに関わる法律の話をしていきます。

クリニック開業! 開業時間の設定と法律の話

「クリニックの開業時間」は、患者様の層や立地などによって決める

一般的なクリニックの開業時間といえば、多くの人が「9時から18時」あるいは「8時から12時、13時から17時」などのような時間を思い浮かべるのではないでしょうか。

ただ、これも正解のうちのひとつではありますが、これだけが唯一絶対の正解ではありません。なぜならクリニックは、取り扱い科や患者様の層、立地などによって、「望ましい開業時間」が異なるからです。

たとえば、ビジネスマンが活躍するビジネス街で開業した場合、多くの会社が休みになるであろう土日に開いていても患者様の獲得は難しいでしょうし、一般的な昼休みの時間である12時~13時にクリニックを閉めていたら「昼休みに足を運びたい」と考えていたビジネスマンをシャットアウトしてしまうことになりかねません。

駅近の美容クリニックであれば、思い切って「開業時間を10時以降にして、閉業時間を21時にする」などのようにすれば、仕事帰りの女性が足を向けやすくなるでしょう。

小児科の場合は、「熱が出たということで、保育園から連絡が来た。今すぐ病院に行きたい」と焦る保護者に寄り添える開業時間に設定しておくと、「子どものかかりつけ医をここに」と考える保護者を増やすことができるでしょう。

なお、現在も「土日祝に病院に行きたいのに、やっていない!」という悩みを抱える人は多いものです。そのため、土日祝に開いている病院というのはそれだけで、一定のニーズがあります。 ただすべての土日祝を8時間(あるいはそれ以上)で運営するのは現実的には厳しいケースも多く見られます。そのような場合は、「土曜日の午前中(9時~12時など)だけでも開いておくことはできないか」などのように考えてみるとよいでしょう。

クリニック開業! 開業時間の設定と法律の話

クリニックを運営していくうちに、金銭的な問題や体力的な問題で、開業時間を変更したくなることもあると思われます。このような「開業時間の変更」を自由に行えるのは、開業医の大きな魅力です。ただ、その地域に住み、そのクリニックを利用していた患者様にとってはこの「開業時間の変更」はとまどいの原因になりますし、場合によっては「その時間に変更されると通えない」となることもあるでしょう。そのため、開業時間を変更するときには慎重な判断が求められます。

スタッフの勤務時間に関係する法律

上記では「開業時間の決め方」について解説しましたが、同時に考えていかなければならないのが「スタッフの勤務時間」です。

クリニックに勤めるスタッフは、「労働時間の上限の制限」を受けます。「法定労働時間」と呼ばれるもので、これは「1週間に40時間以内で、かつ1日に8時間以内である」と定められています。 つまり、「9時開業で18時終業休憩1時間、平日は終日開いていて、土曜日は9時から13時までで休憩なし」などのような場合、1人のスタッフは「平日5日(40時間)で、土曜日出勤なし」などのように調整しなければならなくなるのです。

労働基準監督署長に、労働基準法第36条の届け出(36協定届)をすることで、週40時間を超えて労働させることが可能となりますが、「36協定届を提出すれば、週40時間を超える労働契約を締結することが可能となる」という趣旨ではありません。

例外的に、「スタッフの数が10人未満のクリニックの場合は、1人のスタッフが1週間44時間働いていてもよい」と法によって定められています。小規模なクリニックの場合は、この「特例」が非常に重要な意味を持っています。 ※ただしこの「10人」には、正社員だけでなく、パートタイマーなどが含まれる点には注意が必要です。

「クリニックの開業時間」は、クリニックの運営を考えていくうえで大切な要素です。 後で決め直すことができないわけではありませんが、安易な決め直しは患者様離れにつながりかねないため、初期段階での設定を丁寧に行うようにしなければなりません。

弊社ではクリニック開業支援や経営・人材に関するサポートを包括的に行っておりますので、気になることがありましたら遠慮なくご相談ください。