優秀な医師・自院と適応する医師を獲得したいと考えるのは、クリニック運営者として当然の感情です。
しかし医師は引く手あまたの職業であるため、そのように「望ましい医師」を獲得するのがなかなか難しいのも事実です。そのため、採用したい医師を獲得するためには、求人広告や募集の言葉、あるいは条件をよく精査しなければなりません。
今回は、「ライフスタイルに配慮した求人を出す」という視点からこれを解説していきます。
医師の1週間の勤務時間は55時間程度にもなる
厚生労働省が令和2年の9月30日に発表した「医師の勤務実態について」という資料があります。 これによれば、病院・常勤勤務医の週当たりの勤務時間の平均は、約55時間ということでした。 単純に「週に5日、8時間労働」で考えた場合は実労働時間が40時間、休憩を入れても45時間ですから、これがいかに大きい数字かが分かります。
ちなみに「子どもの有無」で取った統計でも、20代の女性医師でも50時間程度、男性医師の場合は60時間を超える労働時間となっています。
また、週当たりの勤務時間は、「どの診療科を担当しているか」によっても異なります。もっともハードなのはやはり「外科」で、これが61時間54分、2位には「脳神経外科」が61時間52分と僅差で続いています。3位は「救急科」でこれも60時間57分と、60時間を超えています。対してもっとも勤務時間が短いのは「臨床検査科」の46時間10分です。
なお、週当たりの勤務時間が80時間を超える医師がいる病院の割合もこの資料では発表されています。
病院全体では週に80時間以上の勤務をこなしている医師がいる病院は4分の1程度にとどまっていますが、「大学病院」「救命救急機能を有する病院」では半数近くが、「このような勤務形態をとっている医師がいる」と答えています。
また、病床の規模が大きくなれば大きくなるほど、この割合は増えています。
出典:厚生労働省「医師の勤務実態について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000677264.pdf
「プライベートを重要視したい」と考える医師に訴求する求人は効果あり
上記のデータはあくまで「医師の勤務実態」について数字として取り上げたものであり、そこに「医師個人がどう考えているか」の設問はありません。
医師のなかには当然「仕事に生きがいを見出しているので、長時間勤務はむしろ歓迎である」「給料に直接的に反映されるし、将来的には自立を考えている。そのために、若いときにお金を稼げるだけ稼ぎたい」と考えている人もいることでしょう。このため、労働時間が長いこと=デメリット、とまでは言い切れません。
しかしそれと同時に、「本当はプライベートを重要視したいが、現在の働き方ではそれが叶わない」「子どもと一緒に過ごしたいが、仕事の拘束時間が長すぎてそれが難しい」と考えている医師が存在するのもたしかです。したがって、求人を出すときは、このような層にアピールすると効果が得られやすくなります。
たとえば、「残業なし」「時短勤務可能」「有給休暇が取りやすい」などの文言は、このような層に対して強烈なアピール材料となりえます。また、「男女ともに育児休暇取得率100パーセント」「病院内に託児施設あり」「当直・夜勤なし」「オンコールなし」などのように、家庭を持つ医師でも働きやすい環境であることを強く押し出すのも効果的です。
もちろん虚偽や誇大な書き方をしてはいけませんが、自院がプライペートを重要視する医師にも働きやすい職場であるのなら、それは積極的に打ち出していくべきでしょう。またこのようなアピールは、自院のためだけではなく、「働きたいのに、働ける勤務先が見つけにくい」と感じている医師や、医療を必要とする地域住人のためにもなります。
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