医師が開業を目指すとき、そこには多くの「チェックするべき項目」「考えるべき項目」が生まれます。そしてそのうちのひとつとして、「開業をする場所(土地)」が挙げられます。これは開業を目指すにあたって考えるべきもっとも重要な要素のうちのひとつです。
ここでは、「開業をする場所(土地)は、駅近がいいか、それとも郊外がいいか」を考えていきましょう。
集客力は高いが、家賃などのコストも高くつくのが駅近
まずは駅近のメリットとデメリットについて解説していきます。
駅近、特に都心部の駅の近くに医院をオープンした場合、校外にオープンした場合に比べて患者さんが獲得しやすくなります。人は医院を選ぶ場合、「自分の通っている会社の最寄り駅の側」「自分が住んでいる町の最寄り駅の側」にある医院を好んで選ぶからです。言うまでもなく、「通いやすさ」を一番に考えた結果だといえます。
駅近に医院をオープンさせて看板を掲げることで、人の目につきやすくなります。駅近の場所は多くの人が通りかかり、多くの人がその医院の看板を見ることになります。そのため、無意識的にせよ意識的にせよ、「あそこに耳鼻科があった気がする。花粉症だし行ってみよう」などの行動につながりやすいのです。
ただし駅近の場合は、どうしてもコストは高くなります。築年数が浅い物件であれば、その傾向はより顕著です。「公共交通機関はあるものの、車で動く人も多い地方都市の駅近物件」の場合は、「駅近であっても、駐車場がないなら行くのをやめよう」と思われることもあります。 さらにビルの上階にオープンさせてしまうと、看板が目につきにくく、駅近の最大のメリットである「集客力の高さ」が十分に発揮できないこともあります。
コストは安くて軌道に乗れば安定するが、集客力の低さがネックになる郊外
郊外は、駅近とは真逆の特徴を持っています。 郊外に医院をオープンさせた場合、家賃などの出費を大きく抑えることが可能です。診療スペースなども広く取ることができます。 そのため、「資金がそれほど潤沢ではない」「多くの器材やベッドを置きたい」ということであれ、スペースを確保しやすい郊外型がよいでしょう。
郊外型の場合、軌道に乗りさえすれば経営は安定しやすいといえます。なぜならここに来る人たちは、「駅の近くに用事があり、ついでに受診する人」ではなく、「診察を受けることを第一の目的としていて、時間的に余裕がある人」が多いからです。そのため駅近物件で開業する場合よりも、郊外で開業する方が軌道に乗った後の経営が安定しやすいわけです。
ただ、郊外の場合はなかなか集客につながりにくいというデメリットがあります。「物のついでに見る」ということは極めて起こりにくいといえます。そのため、その医院があることにさえ気づかれにくいことさえあります。一度開業をするとそれを維持するためにはある程度の患者さんの来院が必要ですから、これは大きなマイナス点だといえます。
すでに多くの医院がある場合は、ご近所の人がそれらの医院をかかりつけ医にしていることが多く、たとえ医院があることは知っていても、その医院に「移り変わること」を考えてくれる人はそれほど多くなりません。
その意味では、郊外型は駅近に比べてさらに場所選びの選定が難しいといえるでしょう。
このように、同じ「医院の開業」であっても、駅近にオープンするか郊外にオープンするかで気を付けるべき点や営業方針は変わってきます。 ただそれを、一人で見抜くことはなかなか大変です。株式会社メディカルコンサルティングでは、状況に合わせた開業のご支援をしていますのでお気軽にご相談ください。