8月が終わり、9月を迎えた現在であっても、気温はまだまだ下がる気配を見せません。そのため、熱中症で病院に運ばれる人も全国各地で見られています。熱中症は、言うまでもなく人の命さえも奪いかねない危険なものですが、さらにここに新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が加わり、現在医療機関はひっ迫しています。
この記事では、熱中症×新型コロナウイルス(COVID-19)の影響について取り上げます。
年々7~8月の平均気温は上がってきている
ほぼ毎年、7月~8月には「今年は猛暑だ」という表現がニュースで流れています。
この表現は非常に的確なものです。年によって多少の違いはあるものの、日本の夏は年々暑くなっていっています。2023年の東京の7月の平均気温は28.7度、8月の平均気温は29.3度でしたが、10年前はこれが27.3度と29.2度でした。さらに20年前は22.8度と26.0度、30年前に至っては22.5度と24.8度と、現在に比べて6度ほども低い気温にとどまっていました。
このように日本の気温が年々高くなっていくなかで、熱中症で救急搬送される人の数も増えてきました。8月1日に総務省が発表したデータによれば、7月24日~30日までの間に熱中症で救急搬送された人の数は11000人を超えているということです。5週間連続で今年最多の救急搬送数となったほか、8月に入ってもこの勢いは衰えず、8月の第2週では10800人を超える人が熱中症で救急搬送されています。8月第2週以降は少し人数が減りますが、それでも7000人を下回ってはいません。また、すべての週で例外なく、熱中症による死亡者が発生しています。
熱中症×コロナが及ぼす医療機関への影響とは
上記で述べた「非常に多くの人が熱中症で運ばれてくること」は、医療機関に大きな影響を与えています。また、今年はこれに加えて新型コロナウイルス(COVID-19、以下「新型コロナ」の表記に統一する)の問題もあります。
新型コロナはそれ自体が非常に注視すべきものですが、「新型コロナの症状と、熱中症の初期症状が似ていること」も現場を混乱させる要因となっています。熱中症だと考えて運び込まれた人が実は新型コロナに罹患している……という可能性も否定しきれないのです。また実際に、「高校の部活で新型コロナが発生していたが、学校側はそれを熱中症だと勘違いした。そのために対応が遅れて、感染が広まった」という事例も報告されています。
熱中症は、毎年7月と8月をピークとし、9月にはこれによる救急搬送車の数は少なくなります。たとえば2022年では、7月が27000人、8月が20000人を超える人数が熱中症で救急搬送されたのに対し、9月は5000人を切る人数にとどまっています。これを踏まえれば、2023年も同じような流れをとるものと考えられます。
しかし新型コロナが第5類に移行したこと、お盆で帰省したり旅行したりする人も多く見られたことから、新型コロナの罹患者の数は今後も大きくは減らないものと予想されます。そのため、9月以降になっても、熱中症患者と新型コロナ患者によって医療機関がひっ迫していく可能性も十分に考えられます。各医療機関は、今後もこの問題を注視していくことが求められているのです。
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