
日本では国民皆保険の制度が整っているため、治療費・診療報酬が決められています。どこの地域・どこの医療機関で治療を受けても、その治療内容が同一であれば、治療費・診療報酬は変わりません。
しかしこの治療費・診療報酬が6月から変わります。今回はこの変更の理由と、それによって医療機関が受ける影響について解説していきます。
6月から診療報酬がアップする
2026年の6月から、診療報酬が変わることになりました。
たとえば、初診時の費用が57円増し、再診時の費用も21円増しとなります(自己負担が3割の場合)。
診療報酬の見直しは2年に1回の頻度で行われています。
2024年には初診時の費用が30円、再診料が20円増しになるという改定が行われているため、2026年の改定が「初めての値上げ」というわけではありません。
ちなみに改定時の理由はさまざまで、2024年には医療機関で働くスタッフの待遇改善・賃上げを目的としたものでした。
また、2026年の改定の理由にも医療機関で働くスタッフの賃上げおよびそれによる医療人材の確保が挙げられますが、それ以外にも「物価高」「医療機関で必要となる資材の値上がり」に対抗するという目的が挙げられます。
出典:JIJI.COM「物価高反映で診察、入院代アップ 6月から変わる医療の値段(2026年5月7日)
日本経済新聞「診療報酬、初診料30円引き上げ 賃上げの原資に」(2024年2月14日)
診療報酬の改定は、クリニックにどのような影響を与えるか?

クリニックにとって、診療報酬の改定はどのような影響を与えるのでしょうか。
一見すると、「診療報酬の改定が行われれば、医療人材の賃金が上がるため、クリニックも人手を確保しやすくなるし経営が上手くいきやすくなる」と感じられるかもしれません。
これももちろん一概に否定されるものではありませんが、診療報酬の改定=クリニックの経営状況が良くなる、とまでは言い切れないのが現状です。
なぜなら、資材の値段も値上がり幅が非常に大きいからです。
たとえば、2026年の2月には、医療機器を扱う企業のなかのひとつが、世界的な物価上昇と円安を理由に、包帯の価格を15パーセントアップする方針を打ち出しました。原材料の上昇や輸送費の増大を受けたものでしたが、今後もこの展開は続いていく可能性が大いにあります。
診療報酬の改定があっても、この資材の値上がりに耐えられるかどうかはかなり判断が分かれるところでしょう。
また、診療報酬の改定によって、患者様から疑問や不満が寄せられる可能性も考えておかなければなりません。「なぜ値上がりしているのか」などを受け付けで聞かれる可能性もありますし、場合によってはもめることもありえます。
このような状況に耐えるためには、
- 資材に無駄がないか
- より良い仕入先を確保できるか
- 患者様にきちんと説明できる環境を整えられるか
をしっかり確認しておく必要があります。
また、合わせて、光熱費などに無駄がないか、賃上げする余裕はあるかなども考えておくとよいでしょう。
診療報酬の改定は、たしかにクリニックにとって光明となります。ただ、診療報酬の改定があったとしても、それで即クリニックの経営が楽になるかというと、そうではありません。むしろ診療報酬の改定があったとしても資材の値上がりに耐えられるかどうかは未知数ですし、患者様への説明が必要になる可能性も考えておかなければなりません。
私たち株式会社メディカルコンサルティングでは、貴院の助けとなるさまざまなサポートを行っています。クリニックの経営の不安や、人材不足などに関する悩みなど、なんでもお聞かせください。

