
日本に在留する外国人・日本に旅行に来る外国人は、年々増えています。そのなかでクリニックもまた、「外国人をどのように受け入れるか」という課題に直面することになっています。
東京都の20人に1人は外国人、という現状
2012年には203万人程度だった在留外国人の数は、新型コロナウイルス(COVID-19)の時期に一度減ったものの、基本的には右肩上がりに増え続け、2025年の段階では369万人近くになっています。
また、在留外国人の20パーセントが東京に在留しています。東京都民の人口総数は約1,426万人、そのうちの78万人近くが在留外国人であるため、東京都民のうちの20人に1人は外国人です。
さらに、国立国際医療センターの出したデータでは、「外国人の患者の割合は、2024年段階でおおよそ5パーセントだった」と示されています。
※10,000人以下の人数は四捨五入して表記
出典:
国立国際医療センター「受信者の内訳(外国人患者割合)」
https://www.hosp.jihs.go.jp/s041/020/20190823101150.html
聖路加国際病院「国家戦略特区 外国意思の診察の業務解禁について」
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/141128siryou03_4.pdf
東京都「東京都の人口(推計)」の概要(令和7年7月1日現在)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/07/2025072805
出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html
法務省「第1図在留外国人数の推移」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001425981.pdf
外国人を受け入れる医療機関の取り組み~言語の問題
今後も在留外国人・訪日外国人は増え続けると考えられており、クリニックもそれに対応する方法を模索していく必要があります。
実際に、2023年段階ですでに医療機関の半数以上が、外国人の受け入れ実績があると答えています。
外国人の受け入れ数が1か月に10人以下の医療機関が大半を占めたものの、なかには1,000人以上の外国人を受け入れた医療機関もあります。
ただ、「医療機関は外国人も受け入れていく必要がある」といっても、そこには「言語の壁」が立ちふさがります。
患者様が自分の痛みや症状を日本語で十分に伝えられることは珍しく、また医療機関で診療にあたるスタッフも患者様の母国語を自在に操れる可能性は非常に少ないといえます。
英語のように主な言語を使える人はいたとしても、少しマイナーな言語の通訳はできないというケースがほとんどでしょう。実際に、医療機関における外国人診療の問題点のなかでも、圧倒的な1位を占めているのが「言語・会話の問題」であり、これが実に95.8パーセントにも上っています。
JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)もしくはJIH認証医療機関(ジャパンインターナショナルホスピタルズ認証医療機関)の場合は外国人患者受入れ医療コーディネーターを配置しているケースが多い(4か所のうち3か所程度)といえます。
しかし、拠点的な医療機関でも16パーセント程度、医療機関全体では2.7パーセントにすぎません。
しかし逆に見るのであれば、これは今後新しくクリニックを開こうとするクリニックの場合は、「外国語も使える医療スタッフ」を雇い入れることで、外国人の患者様を積極的に「獲得していける」状況になるということです。
また現在は翻訳アプリなどの性能も良くなっていっていますから、これらを積極的に使うのもよいでしょう。
「未払い問題」にどう取り組むか
「言葉の問題」に次いで多いのが、「医療報酬の未払い」です。
外国人患者の受入実績のある病院のうち、5~6施設に1施設は未収金を経験しています。
これを防ぐためには、「事前に金額を提示し、前払いにしてもらう」という方法がもっとも有効です。
また、パスポートなどの本人確認書類やクレジットカード情報を提示させるなどの方法も効果があります。
これがシステム上難しい場合でも、ホームページおよび口頭で必ず「診察後に支払いが必要なこと」「海外旅行保険に入っていても、原則として患者様自身に先に支払ってもらって、後で患者様から保険会社に請求してもらわなければならないこと」を説明しておきましょう。
なお国でも、「医療費を支払わなかった訪日外国人については、次回以降の入国審査を厳しくする」とする方針を出しています。そのため、万が一支払いが行われなかった場合は、厚生労働省の未払い情報報告システムを利用して報告をしてください。
今後も海外からの渡航客・在留外国人は増えていくものと思われます。弊社ではこのような「外国人の患者様」を受け入れていくためのご相談もお引き受けしています
出典:
厚生労働省「令和5年度医療機関における患者の受入に係る実態調査」

