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医療法人の決算日、クリニックの決算日について

「確定申告」という言葉がよく耳に入ってくるこの時期ですが、勤務医と開業医、そしてクリニックと医療法人では確定申告の難易度や日付に違いがあります。

ここでは主に「クリニックの確定申告日」「医療法人の確定申告日」について解説していきます。

決算

勤務医時代と開業医時代の確定申告の違い

開業をする医師のほとんどすべては、一度勤務医を経てから開業医となります。

勤務医時代は、所属している職場(医療機関)がまとめて年末調整を行うため、個々人で確定申告を行う必要は原則としてありません。

ただし、

  • 収入が2000万円を超える
  • 2つ以上の病院に勤務している(メインとなるA病院で働きながら、Bクリニックで夜勤担当をしているなど)
  • 副収入が20万円以上である(コラムを書いたり、講演を開いていたりする)

場合は、勤務医であっても確定申告が必要です。

また、これ以外にも、医療費控除を受けている医師、住宅ローン控除を受ける人や、多くの自治体にふるさと納税をしている人も対象となることがあります。

医師は高収入の仕事ではありますが、勤務医の平均収入は1400万円~1500万円程度であるため、勤務医時代は自分で確定申告をしたことがないという人もいるでしょう。

しかし開業医の場合は、確定申告を行う必要があります。
確定申告の所得は「事業所得」に分類されるものであり、所得に応じた所得税の納付が義務付けられています。

ちなみに所得税は、単純に「入ってきた金額」によって求められるものではなく、そこからさまざまな経費を差し引いた後の金額から求めることになります。

出典:厚生労働省:「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について

個人事業主としての医師と、医療法人を営んでいる場合では決算日が異なる

医師パソコン

勤務医時代には自分で行う必要のなかった人であっても、独立すれば確定申告を行う必要があります。

ここで注目しておきたいのが、「個人事業主としてクリニックを営んでいる人と、医療法人化した場合では確定申告の決算日が異なる」という点です。

個人事業主の場合は、事業年度は1月~12月と決められていて、決算日も12月31日と定められています。さらに確定申告を行う日も、翌年の2月16日から~3月15日と決められています。

例として、2025年の場合は、2025年の1月1日から2025年の12月31日までを事業年度として、2026年の2月16日~2026年の3月15日までに確定申告を行う必要がある、ということです。

ちなみにこの決まりは、開業医・クリニックにのみ適用されるルールではなく、ほかの業種でも同じです。税務署などもこの期間は相談が増えることを見込んで、説明会や、質疑応答会などを設けています。

対して医療法人の場合は、確定申告の日付を任意で決められます。決算日を12月31日とする必要はなく、4月30日にしたり、10月19日にしたり……といったことが可能です。

そのため、「この時期は毎年混む」ということがわかっているのなら、その時期を避けて閑散期を決算日とすると慌てずに済むでしょう。なお繁忙期は病院や科によって多少違いがありますが、特に冬の時期や年末年始がここにあたりやすいといえます。

ただ、「医療法人の場合は12月31日を決算日にしてはいけない」ということはありません。そのため、クリニックから医療法人化した経営者の場合は、「前から12月31日を決算日にしていて、その時期に確定申告をするのがならいになっているので、クリニック時代と同じように12月31日を決算日とする」とする人もいます。

一概に言うことはできませんが、基本的には確定申告の難易度は、勤務医(何もしなくても良いもしくは一部のみ必要)<<個人事業主(クリニック)<<<<<医療法人(病院) です。

「個人事業主時代は自分でなんとか確定申告をできていたが、法人化したらとても手に負えなくなった」というケースは非常に多くあります。

個人事業主時代も税理士などを入れることで手間を軽減できますが、医療法人化した場合は専門家にお願いすることがほぼ必須だといえるでしょう。

私たちメディカルコンサルティングでは、クリニック経営のサポートをしています。

確定申告についても可能な限りアドバイスさせていただきますので、お困りの際はご気軽にご相談ください。

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