集客を目的として、自院の広告に芸能人やキャラクターを取り上げたいと考える人は決して少なくありません。
ただこれには気を付けるべき点があります。
芸能人の扱いには特に注意が必要

「芸能人の〇〇さんも絶賛!」「芸能人の〇〇さんも通っている!」という表現は、医療広告ガイドラインに違反しているとして、規制の対象となります。美容クリニックなどでは特に使いたくなる表現ですが、これはほかの医療機関と比較して自院が優れていると見せる表現であるため、制限の対象となるのです。
なおここでは「芸能人」としていますが、著名人(医師を含む)も規制対象となります。
特に注意したいのは、この表現は、「実際にその芸能人が自院に通っている場合であっても規制対象となる」という点です。虚偽記載や誤認される表記はもちろんのこと、通院自体は事実であったとしても医療広告ガイドラインに違反していると判断されるのです。
また、芸能人のコメントとして、「(自院名)クリニックさんで二重まぶたの整形手術を受けてきました! きれいな二重を作ってもらって大満足です。痛みもほぼなくて、アフターケアもしっかりしているので、みなさんもぜひ!」などのように掲載することもNGとされます。
このため、ウェブサイトなどで公に芸能人の写真やコメントを使用すること、また芸能人が自院に通っていることを示す表現をすることは避けるべきです。
ただし例外もあります。
それが、「申し出を受けてから、それに応じるかたちで送るパンフレット」です。
1.患者様がウェブサイト(芸能人の写真などの掲載不可媒体)にアクセスする
2.患者様から、「詳しいパンフレットが欲しい」と申し込みがある
3.申し込みがあった患者様にパンフレットを送る
の、3の段階で送付するパンフレットには芸能人の写真などが掲載されていても問題ありません。これは、患者様の申し出によってはじめて送るものであり、「公に知らしめる『広告』」にはあたらないからです。
なお、芸能人の写真には肖像権、さらに撮影者の著作権も存在するため、許可を取らずに掲載した場合はこちらの観点からも問題となります。
出典:
厚生労働省「医療広告ガイドラインにおける対応の整理―ネットパトロール事業での事例等を参考に整理―」p6
キャラクターは自作のものならば安全性が高い、他者の作成物は危険

芸能人の写真などとは異なり、キャラクターの利用については医療広告ガイドラインでは触れられていません。
ただし、
・そのキャラクターに、「絶対安全」「県内一のクリニック」「痛くない」などのように医療広告ガイドライン上問題のある言葉をしゃべらせる
・キャラクターが他者の著作物である
にあてはまるのであれば、当然問題になります。
特に注意したいのが、後者です。
著作権者・著作者が別に存在するキャラクターを使った場合、著作権を侵害したとして訴えられる可能性があります。たとえば、小児科で、既存の人気キャラクターを勝手に自院のウェブサイトで利用した場合などがこれにあたります。
これを避けるためには、
1.自院でキャラクターをオリジナルで作成する(外部委託の場合は、著作権の譲渡などを盛り込んだ契約書を作る)
2.著作権フリーかつ商用利用可能のキャラクターを使用する(帰属表記不要であればなおよい)
3.著作権者に許可を取る
のいずれかの方法が考えられます。
ただ、自院の個性を出すこと、またある程度デザイン性が高いものを使用するのが望ましいこと、交渉や使用に関する費用面での調整のことを考えれば、基本的には1の方法が選びやすいといえるでしょう。
医療広告ガイドラインや著作権は、守らないと自院に大きなペナルティが課せられることもあるものです。
私たち株式会社メディカルコンサルティングでは、広告の打ち方などを含めて、貴院の心配事を解消するお手伝いをしています。
出典:
厚生労働省「医療広告ガイドラインにおける対応の整理―ネットパトロール事業での事例等を参考に整理―」p5、p6
TOP COURT「キャラクターに著作権なし?4つの事例でどこまで利用してよいか解説」

