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一部の医療機関が抱える闇~ブラック病院について

厚生労働省が打ち出した施策のひとつに、「働き方改革」があります。これが発布されてから4年が経とうとしていますが、実際の現場ではこれが実現できていないところもあります。医療現場もまた例外ではありません。

ここでは、働き方改革の概要と、いわゆる「ブラック病院」と呼ばれる医療機関の実態について解説していきます。

 多くの人が働きやすい世界になることを目指して作られた「働き方改革」

「働き方改革」とは、2019年の4月に厚生労働省から発布されたものです。「一億総活躍社会」を目指して作られたもので、

1.労働時間法制の見直し
2.雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

―引用:厚生労働省「働き方改革」https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf

を掲げています。また、柔軟で多様な働き方を推進しようとする考え方も、このなかに組み込まれています。

このなかでも特に重要なのは「1」です。2019年以前は、法律上は残業時間の上限の定めがありませんでした。しかしこの施策が交付された後は、「原則として月の残業時間は45時間までで、年に360時間まで」と法律でその上限が定められるようになりました。また例外的な措置が行われる場合も、「残業時間は年に720時間、複数の月の平均残業時間が80時間まで、かつ月の残業時間は100時間未満」とされたのです。

つまり、月に20日間稼働すると仮定した場合、どれほど多くても1か月に5時間までの残業しか認められなくなったのです。

ちなみに特殊な職業である医師の場合は、特に「医師の働き方改革」として別項が設けられています。これにはA水準・B水準・C水準の3つの区切りがありますが、一番多くの時間外労働が認めれらている水準であっても、「時間外労働時間は年間で1860時間以下、月に100時間未満」と定められています。

現在の「ブラック医療機関」の現状とは

 実際に、上記の働き方改革は、医師の世界でもある程度有用に働いています。株式会社クリーム・アンド・リバー社が、228人の医師と134の医療機関から返答を得たアンケートでは、228人の医師のうち46パーセントが「働き方改革が進んでいる」と答えています。また、回答を寄せた134の医療機関のうち60パーセントが「働き方改革が進んでいる」としています。

医師と医療機関の間で数字に差はあるものの、全体の半分近くの対象者は働き方改革の施行の意味を実感しているといえます。

ただその一方で、医師に過剰な労働を強いるブラック医療機関が存在するのも事実です。 2019年(つまり働き方改革実施後)に929人の医師に対して取ったアンケートのなかには、全体の10パーセント程度が「月に100時間以上の時間外労働をしている」という結果が得られたとするものもあります。しかもそのうちの3.7パーセントが、実に「時間外労働時間は140時間を超える」としています。

ちなみに時間外労働が多い勤務先としては、「大学病院」が圧倒的に多いという結果が出ています。統計では「100~120時間」「120時間~140時間」「140~160時間」と、100時間を超える時間外労働の層を3つに区切っていますが、そのいずれでも「大学病院」がトップの割合を占めています。

医師はその職業の特性上、「止むを得ない時間外労働」が発生してしまう可能性が否定しきれない職業だとはいえます。しかし医師も一人の人間ですし、過剰な時間外労働が日常的に課せられている状況では、判断能力も落ちてしまい、業務上のミスに繋がる可能性がございます。

そのため、医師として転職や入職を考える場合は、その医療機関の時間外労働の実態を把握しておくことが必要です。一方で、経営者として医師を雇う立場になった場合は、医師に多大すぎる負担がかからないようにマネジメントを行うことが求められます。

上記のように医師の求人やマネジメントについてお困りでしたら、弊社までご相談ください。

出典:
PRTIMES(株式会社クリーク・アンド・リバー社) 民間医局の医師会員228名と医療機関134施設に実施した最新調査結果を公表 施行まで約1年後に迫る「医師の働き方改革」に関するアンケート調査を実施
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002807.000003670.html

PLAMED 「医師の時間外労働に関するアンケート」
https://plamed.com/c/pdf/report/Overtime_work.pdf