
「かかりつけ医のメリット」で検索すると、多くの記事が「患者様がかかりつけ医を持つことによるメリット」を紹介しています。たしかに、自分の体や病気のことをよく理解し、いつでも相談できる医師がいることは、患者様にとって大きな安心につながります。
しかし実は、「かかりつけ医に選ばれること」は、医師やクリニック側にとっても大きなメリットがあります。ここでは、かかりつけ医になるメリットと、そのためにできる取り組みについてお伝えします。
1. かかりつけ医に選ばれれば、その患者様はリピーターになる
かかりつけ医になる最大のメリットは、安定したリピーターを獲得できることです。
一度「かかりつけ」として選ばれた医師には、患者様は特別な理由がない限り通い続けます。慢性疾患の治療はもちろん、突発的なけがや風邪でも「まずはかかりつけ医に診てもらおう」と考えるようになります。
リピーターはクリニックにとって中長期的な支えとなり、安定した運営の基盤を築いてくれる存在です。
また、クリニックで対応できない症例は基幹病院へ紹介しますが、現在は基幹病院側でも人員不足が深刻です。地域医療の方針として「症状が安定した患者様をクリニックに戻す(逆紹介)」取り組みが広がっており、これによりクリニックはさらに安定した患者数を確保しやすくなります。
さらに、かかりつけ医として選ばれることで口コミ効果も期待できます。地域に根ざした医療を丁寧に行うクリニックは、「あのクリニックは信頼できる」と紹介されやすく、新規患者の獲得にもつながります。
加えて、国の制度として「機能強化加算」があります。適切に専門医療機関への紹介を行える体制が認められれば、初診料に80点の加算が可能です。利用には「予防接種を実施している」など条件があり、厚生局への届け出が必要ですが、収益面でもメリットがあります。
2.かかりつけ医になるには?

厚生労働省の調査によれば、かかりつけ医を持つ人は55%にとどまります。裏を返せば、45%の人にはまだ「かかりつけ医がいない」ため、今からでも選ばれる可能性が十分に残されています。
かかりつけ医は患者様が主体的に選ぶものですが、そのための取り組みも存在します。
たとえば、日本医師会が運営する 「日医かかりつけ医研修制度」 です。
・基本研修
・応用研修
・実地研修
の3区分を3年間で修了すると、都道府県医師会から有効期限3年間の修了証が交付されます。取得すれば、患者様に安心感を与える大きなアピール材料になります。
また、最終的に患者様がかかりつけ医として選ぶかどうかは「口コミ」や「診療態度」に大きく左右されます。一人ひとりに丁寧に寄り添う診療こそ、かかりつけ医になるための最も重要な条件です。
3. 高齢化社会で高まるかかりつけ医の役割
高齢化が進む現在、「医療」はすべての人にとってますます重要なものになっています。かかりつけ医は、患者様・基幹病院・クリニック経営者のすべてにメリットをもたらす存在です。
患者様にとって → 安心して相談できる医師がいる
基幹病院にとって → 負担を分散し地域医療を支えられる
クリニックにとって → リピーター獲得・経営安定化につながる
「地域医療の担い手」となりつつ、安定経営を実現できるのがかかりつけ医の大きな価値です。
ぜひ、自院が「かかりつけ医」として選ばれるために、できることを一つずつ積み重ねていきましょう。
4. ご相談ください
株式会社メディカルコンサルティングでは、クリニック経営をサポートしています。
「かかりつけ医になるための取り組みを進めたい」「安定した経営を実現したい」「スタッフ採用で悩んでいる」など、どんなお悩みでもどうぞお気軽にご相談ください。